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防水工事DIYの劣化検証及び素地調整対策(1) 

防水工事DIYの劣化検証及び素地調整対策(1) 

はじめに
防水工事は、単に防水材を用いれば解決する訳ではありません。なぜ雨漏りするのか、なぜ劣化するのか、なぜ予算と時間を掛けても解決しないのか?など、その原因を理解しなければ、高い工事費が台無しになってしまいます。防水工法の中でも、FRPは「半永久的」として、FRPで防水工事さえすれば全て安心と誤解されている事も非常に多いのが一般的です。
近年FRP防水が手軽に施工可能な事から、FRPの専門の業者さんも増え、木造建築での防水は、一般的にFRPの名が主流となってきました。しかし、木造以外の建築や改修工事では、その既存の防水層や建物の構造、劣化状況に対する検証や対策を講じず(考慮せず)、施工後のトラブルや誤解も多くあります。当店では、単に防水材を塗るだけで「防水工事」と言う考えを持たず、建物の延命のための保守管理の一環としても機能させ、防水に関わる建物の劣化状況や構造までを検証し、各種の防水工法の採用を検討し、防水工事に必要な改修までを提案する様に心がけております。その様な中で、単純施工内容であれば、「自分で施工して見たい」との声も多く、当店ではそんなオーナーの皆様のお手伝いをさせて頂きたく、DIYでの防水工事をどの様にアドバイスするべきかを考え、材料販売は防水工事が可能であった場合にのみ、お見積りさせて頂く様にしております。防水工事をDIYとしても検討されているオーナーの皆様には、お見積もりご依頼される前に、このページでの説明を充分に参考として頂き、お問い合わせ頂いた上、現状を詳細にお伝え頂きまして、防水工事がDIYで可能であるかの判断を当店にご相談下さい。特殊な構造、危険を伴う現場状況でのDIYの困難な状況や、建物のトータルな改修等、専門知識や規模の大きな工事が必要な場合は、保証問題もありますので、出来るだけ、プロ(地元の建築防水専門業者さん)へお任せ頂いて、DIY可能な内容の工事でしたら、当店へご相談の上、挑戦されるのも良いと思います。当店の遠隔的な、現場調査、検証により、ご希望される対応年数に応じて、工事予算の掛け方、防水工法の提案(FRPが全てではありません)、による施工手順、使用などのアドバイス、準備から完成までをサポートしています。(専門用語を避け、分かり易く対応しております。)

※現場状況とお客様のご要望を把握するまで、お見積りは出しておりません。結果として、DIYを断念して頂き、地元の建築防水業者さんへ依頼される事を薦める(現在紹介斡旋は行っておりません)場合もございますので、予めご理解の上お気軽にお問い合わせ下さいませ。( 画面上では、全てを知って頂ける情報を掲載する事は不可能ですので、当HPで防水工事の 全てを伝えている内容であると 誤解されません様 心からお願い申し上げます。 )

実践DIY防水検証スタート!

防水工事をご検討中で、FRP防水が一番良いと思い こちらへいらっしゃった方も多いと思います。
そこで、実際にFRP防水のDIYが可能かどうかまず、このページを参考にしてからご相談下さい。


①建物の構造、環境でのDIY防水工事の可能性

上の様な足場の悪い危険を伴う作業が必要な構造では、出来るだけプロに任せましょう!
どうしてもご自分で行う場合は、自己責任で安全帯の装着(手すりと体を繋げて)など安全対策を怠らず作業して下さい。

上の様な場合は、手すりの劣化具合により、この後説する対策が必要になります。工事予算や希望対応年数、建物の延命など様々な条件での対策をご参考にして下さい。


②DIY防水工事が可能な場合

材料を購入される前に、建物の劣化状況をチェック!
文頭でも申しました様に防水材を塗布するだけで雨漏りを止めたり建物の劣化を防ぐ事は出来ません。ここでは防水工事に密接に関わる施工前の事前調査を薦め、原因究明から対策を紹介いたします。

建物も人間と同じく、環境や管理に応じて老化します。 経年劣化に限らず、使用頻度や周辺環境、地盤、設計、保守管理の状況で、その劣化状況は大きく異なります。建物も発祥する一部の劣化が、それに関連する複数の不具合や損傷が原因で引き起こされている事が多くあります。単純に「雨漏り」は屋根の故障とは断定出来ず、その原因から究明して対策を講じ、最終的に仕上げとする事が、何よりも大切です。(応急処置やDIYでの簡易的な補修は以後の改修の妨げにならない様にする事が大切です。)

この様に段差が生じている場所の処理(下地・不陸調整)をせずに、防水を施せば、後に膨れや亀裂が生じ、使用時の損傷や勾配の妨げにより、排水の不具合で溜まり水が出来、土積、コケ発生、屋上の場合、鳥の糞害(植物の種を運び防水層に根付く等)防水層の劣化を早めてしまいます。この様な場所は、ダイヤモンドで削るか、下地調整用のモルタルで段差をなくす事から、防水工事の始まりとなります。この後に補修の様子を紹介していますので、ご参考にして下さい。

既存防水層や素地の劣化部・不具合部をローラー作戦で隅々までチェックして、補修が必要な場所は、防水を施す場所以外にも、直接・間接的に関連する周辺劣化部または、原因箇所に予めマーキングする事で、劣化状況を再認識でき、DIYでの本工事を行う前に再検討をする事も出来ます。また、補修工事の際の作業効率がUPしますので、ぜひ行って下さい。ホームセンター等で購入可能なラッカースプレーで構いません。出来るだけ、素地の反対色、目立つ色を使ってください。


③屋上やベランダ・バルコニー・庇だけの検査ではNG!

建物全体(屋根周辺)の劣化状況もチェック!

横方向にクラックが発生しているのは、コールドジョイントと言われている屋上床部のコンクリートが立ち上げリ壁を押している事で、発生しているRC造特有の現象です。このもの自体が直接の雨漏りの原因になる場合もありますので、防水施工後もこの付近が雨漏りする場合は、第2期改修として検討する必要があります。またこの現象は、防水層(入り済み角)にクラックを生じさせる場合があります。屋上が露出防水工法ではない場合に、なう部構造によっては、コンクリート内部の防水層に亀裂が生じ、漏水を引き起こす原因となりますので、露出工法で更に防水ることで雨水の浸入を防ぐ事が出来ます。

このクラック及び水の痕は、屋上の立ち上がりに手すりの柱が埋設されている事が原因で発生し、軒天井まで繋がって漏水している様子です。この場合、どれほど屋上の防水を行っても、この場所の雨漏りは止まらず、内部の鉄筋はさびを膨張させ、コンクリートを押し出し、更にクラックが発生し、最悪、コンクリートの爆裂によりその部分は崩落(欠落)します。この原因を理解して防水工事を行う事で、初めて防水工事となります。防水工事は、単純に塗装をする工事ではなく、建物の寿命を左右する非常に大切で、明快な保守管理の一環です。

これも同じく、手すりが原因でクラックが発生しています。偶然ではなく、コンクリート内部でさびが膨張し、コンクリートにクラックを生じさせる全く同じ現象です。このまま放置する事は出来ません。手すりの改善が必要になります。この後に、詳細に解説します。

木造モルタル住宅の外壁からの雨漏り

木造で1Fから3Fまでがモルタル壁となっており各フロア毎に帯を設けていない1枚壁の構造では当然ですが、クラックの発生する確立は非常に高くなります。雨漏りするはずの無い?雨漏りするベランダも庇も無い立て板に水の場所で雨漏りするはずが無い!と思うのが非常に無理があります。現状(構造)維持で、補修するにはクラック補修後弾性外壁塗料での再塗装、お薦めは水和凝固型防水剤での防水塗布により塗装仕上げとする事です。


④原因究明と対策!

良く観察して原因をたどる!

先ほどの、外壁のクラックは、左写真の手すりの柱の根元を中心に発生しています。また、上部の溶接付近からもサビで穴が開いており、柱側まで穴が開いた状態となっています。一年を通じて、結露と凍結の繰り返しにより、内部からさびが発生し、穴が開くほどになると、今後は雨水が直接浸入し急激に劣化が始まり、手すり本体だけでなく基礎となっているコンクリートまで大きなダメージを与えてしまいます。

この写真は、鉄筋のサビにより発生した爆裂の様子です。規模が大きくなると崩落時に被害の出る可能性が大きくなり、大変危険です。 先ごろの関東地方震度5クラスの地震でも発生したビルセットバック部の崩落も単に構造上の問題だけでなく。雨水の侵入による劣化が影響している事も否定できません。

左のイラストは、防水層が露出工法である場合において、手すりや外壁、防水層の雨水の侵入が原因で発生する様々な事象を説明しています。露出防水層が無くコンクリート素地の場合も、ほぼ同じになりますのです。
○の部分からの雨水の浸入により、躯体内部に水分が吸収され、夏は高温で内部の湿気が逃げ場を探し、防水層やモルタルを持ち上げ、膨れや剥離を発生させます。夜間は温度が下がり、膨れが納まります。夏の間は、一日を通じてほぼ毎日膨張収縮を繰り返すため、更にクラックや剥離が激しくなります。これらの原因に対する対応策は、この後解説しております。
◎イラストのコールドジョイントラインは、実際は下の方にありますが、画像サイズなど制作上の理由で分かりやすい位置に示しています。 ここでは、分かり易い様にイメージを優先しています。


⑤浸入経路の理解と雨仕舞い対応策

良くある単純な原因の雨漏り

この写真は、アルミ製の庇の柱を下地のコンクリートへ先付けし単純にFRP防水を後からライニングして柱の根元も連続防水層としてライニングしてあった様子です。当然ですが、アルミ製の柱は空洞で各部材がネジ止めで接合されており、内部は雨水の通り道となっています。この事を認識ぜず、防水層の内部へ納めるのは、「雨漏りして下さい」と言っている事と同じで、意味の無い防水工事になってしまいます。この様な場合は、一旦柱を外し、先に防水してから柱を戻して固定しなおします。固定する場合、パッキンやコーキングが必要で、これを怠っては、未だ雨水の浸入の可能性を残してしまいます。

下記は手摺の正しい設置方法の解説です。

左は必ずしも×ではありませんが、この様な場合は、単に防水をするのではなく、柱に雨仕舞いとしての処理をする必要があります。下の手順①の様に、手すりに鉄鋼用のドリル刃で、手すりの柱の根元から5mm高の位置に5mmФほどの穴を開け、更に20mm上にも同じく穴を開けます。カートリッジ式のコーキング材を、下の穴へ下向きに大量に注入するか、建築断熱用のノズル付きの発泡ウレタンスプレーで、根元内部を中心に隙間無く充填して、コンクリート側へ水が入らないようにしてから、右下(手順②)の方法で補強固定します。
旧手すりを撤去移動する場合で、新たに防水をする場合は、この様な方法で漏水対策を図ります。基礎のコンクリートは、下の防水層と防水層保護の緩衝シートで完全に水の浸入を防ぐ事が出来ます。

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